朝晩が冷え込む季節になり初霜を見ると「ああ、そろそろ冬支度だな」と感じます。
トラックも同じで冬が本格化する前に、ひと手間かけてあげる時期になりました。
秋冬の予防整備の基本はすでにご存じでしょうか。
オイルや燃料フィルターの交換、クーラント濃度・液量の点検、バッテリー、ベルトやホース類の点検、ワイパーブレードの交換、ヒーターやデフロスターの動作確認など。そして、ブレーキライニングやドラム・ローター、エアドライヤー、サスペンションブッシュ、ショックアブソーバーなども重要です。ライト、アース、ホイールナットのトルク、タイヤの溝深さ、アライメント、タイヤ外観の状態のチェックも忘れてはいけません。 寒くなると、どれも重要度が一段と増します。
多くのフリート(車両保有企業)は「秋冬の整備チェックリスト」を持っているはずですが、実際のトラブルは細かい見落としから発生することが多いのです。 例えば、夏場の走行で締め付け力がわずかに低下したため、ホイールがハブ座面で微妙に動き始めてしまうケース。
気温が下がるとタイヤ空気圧も一気に低下し、昨日は問題なかったタイヤが、走行し始めて直ぐ空気が漏れ始めることもあります。
Alcoa®Wheelを使っているフリートなら、現在使用している洗浄剤や日常のケア方法を見直すのもこのタイミングです。正しい洗浄剤等を使うことで腐食を防ぎ、ホイールの当たり面を保つことができ、冬の塩害(凍結防止剤)への耐性も上がります。
この記事では、普段見過ごしがちな “細部” の整備に言及していきます。
気温の変化に合わせた締付トルク点検、異種金属が接触する部分の電蝕チェック、運行前点検で行える簡単なバルブコア確認など、些細でも効果の大きい習慣がテーマです。
要は「秋冬のメンテナンス」でも「寒さ対策」でも呼び方はなんでもOK。
基本をしっかり押さえつつ、ひと工夫を加える事で、初冬の面倒ごとが一気に減ります。 予期せぬ故障が減る事で、ロードサービスの出動も減り、整備担当の負担も軽減出来るでしょう。さらに、トラックはより多くの距離を、いつも通り滑らかに走れるようになります。
それでは始めましょう!
1:アルミホイールの寿命は「清潔で平らな当たり面」が命
Dura-Bright®は表面の汚れをつきにくくしますが、締付け力は 車両ハブ当たり面が “きれいで平滑であること”に依存します。
ハブのサビ、ドラムについた防錆塗料、ブレーキパッドのブレーキダスト―これらは走行中に濃縮され、結果として締付力が落ち、ホイールが取り付け面で摺動し、穴の変形や細かな亀裂につながります。 だからこそ、これは“必須の予防整備項目”なのです。
2: 短いルーティンにしましょう
- ハブ、ドラム、ホイールを洗浄してしっかり乾燥
- ピッチやスケールの盛り上がりを確認
- 正しい方法で取り付け、校正された工具で規定トルクにしっかり締付
- 初期走行後にはトルクチェック(車両マニュアル通りに)
“ メンテナンス作業の流れ→ 規定どおりの取り付け → 検証 ” の流れを徹底してください。
さらに、空気圧チェックもこのタイミングで行うのがベストです。
気温の低い時、タイヤ空気圧は必ず低下します。
- 信頼できる圧力計で測定し、車両マニュアルの記載通りに調整
- 測定タイヤ空気圧を正確に記録
- TPMS が付いた車両では正常作動するか確認
- ホイールのバルブステムからの漏れやキャップの欠落をチェック
小さなことですが、後で大きな差を生みます。
3:冷え込み後の “正しいタイヤ圧” と朝一の落とし穴
朝の測定値こそが本当の値です。
トラックが数時間止まっていると、タイヤ内の空気が冷えて安定しています。
この“冷間時”が、空気圧を調整するべきタイミングです。
走り出してしまうと、タイヤのたわみや日光で温度が上がり、空気圧も上昇します。
温まった状態で規定値に合わせてしまうと、翌朝には確実に低圧になります。
正しいメンテナンス工程
- 可能なら一晩、最低でも数時間 “日陰で放置”
- 次の担当者も同じ基準で比較できまるよう、校正済みの空気圧計で車両仕様や表示ラベルに合わせて測定し記録
- Wタイヤは数hPa 以内で揃える
外側のタイヤが正常に見えても、内側のタイヤが低圧だと余計な荷重を受けて高温になってしまう
- 測定中にエアバルブから漏れ音やバルブ周りの石鹸水などの泡テストで空気漏れを確認
疑わしいバルブコアはその場で交換し、シール付きの金属キャップを装着してください
- 空気圧調整後TPMS付きの車両では 空気圧の読み取りを確認
季節ごとの推奨値に合わせてアラートの基準値を設定し、不要な警告が出ないようにしましょう
4:シーズン初めの “塩害対策” を早めに
シーズン最初の凍結防止剤(塩)はより多く散布され、あらゆる隙間に入り込みます。
飾り穴の裏、バルブ周り、さらには取り付け面……どこでも浸透します。
見た目は洗えばキレイでも、残留物が腐食を進めることもあります。
洗車ルールを冬モードに切り替える合図です。
腐食が始まる前に融雪剤を落とすためには、トラックとトレーラーの両方をしっかり洗浄することが重要です。
*以下は当社推奨
- pHバランスが取れたアルミ対応クリーナーを使用(Dura-Bright®は中性洗剤と水だけでOK)
- 強酸性洗剤は避ける
- 洗浄液が取り付け面やスタッドボルト周辺に残ったまま乾かないよう、ホイールの両面をしっかりすすぐ
- 乾燥後、白い粉(ホワイトブリーム)やザラつきをチェック
- 未コートホイールには保護剤を追加
Dura-Bright®ホイールでも、「しっかり洗って乾燥させる」ことで塩が焼き付くのを防げます。ホイール周りの部品キャップ類も忘れずに洗浄してください。清潔に保たれたホイールは、締付トルクが保ちやすく、冬の点検もぐっと楽になります。
そして点検ついでに、次の“ヒント 5”をお見逃しなく!
5:振動の原因は“バランス”ではなく“ランアウト”のことも多い
タイヤ交換後の振動は、バランス不良と決めつけられがちですが、
実際にはランアウト(偏心)やリムのフランジ損傷が原因であるケースも多数あります。
秋のメンテナンスでは、ホイールを外したタイミングで以下を確認:アルミホイールの横振れ(ラテラル)および縦振れ(ラジアル)を簡単に確認。
- ダイヤルゲージが理想だが、ない場合はバランサーでホイールを回転させ
して外周・ビードシートの動きを目視チェック
- フラットスポット、フランジ曲がり、タイヤレバーでの傷を確認
- 問題があればマーキングし、仕様に基づき、ローテーション・修理・廃棄を判断
ドラムやハブにも偏りがないか必ずチェックしましょう。変形したドラムは、ホイールの不具合と同じような症状を出し、ブレーキ(ライニング)をダメにしてしまうことがあります。
寒くなるとタイヤが硬くなり、タイヤのブレランアウトの影響がより大きく表面化します。今の段階で発見できれば、ホットスポット・偏摩耗・そして数日後に突然症状が現れる謎のホイール締結力重低下を防ぐことができます。
まとめ
秋の予防整備は大きな作業よりも、細かい部分のメンテナンスの積み重ねが効果を生みます。
- 清潔で平らな当たり面が締付力安定を守る
- バルブステムやコア、キャップなど小さな部品が空気圧を守る
- 冷間時チェックが正しいタイヤ圧を決める
- 適切な洗浄剤選びで塩害を防ぐ
- タイヤのブレ確認やリムフランジ点検が原因不明の振動やホイールナット締め付けトルク低下を防ぐ
これらを秋-冬のルーティンに組み込めば、他の点検項目の効果も高まり。
故障減、出動減、そして冬へのスムーズな移行を実現できるでしょう。
皆様の参考になれば幸いです。
DURA-BRIGHT® WHEELS
高度な表面処理
DURA-BRIGHTの優位性 : ALCOA®WHEELS独自の特殊加工
Dura-Brightの表面処理はアルミニウムに浸透し、ホイールの表面を
形成することで防汚効果を長持ちさせ、メンテナンスの効率化を実現

